「上手に弾く」から「音楽を支える」へ。合唱伴奏が育てる音楽性

合唱伴奏はピアノ一人の演奏とは違う
合唱の伴奏をする時は、自分ひとりの演奏の時とは違う意識や技術が必要です。
ただ自分が気持ちよく、自由に弾くだけでは、良い伴奏にはなりません。
では、「良い伴奏」「巧い(うまい)伴奏」とは何でしょうか?
伴奏にはどんなことが求められるのでしょうか?
伴奏には「歌を支え、引き立たせる」という特別な役割がある
伴奏にはその音楽を明確に提示し、歌をあたたかく包み込むように支え、引き立たせる、
という、複数の「役割」があります。
前奏がある場合は、数小節で、
歌う人達や観客をその音楽の世界に引き込むことが必要です。
これから始まる音楽の世界観を示し、雰囲気を作って、
ハイどうぞ、と受け渡すことで、
歌い出しが大変入りやすくなります。
ある意味前奏や間奏、後奏は、
伴奏者が独奏の時のように、自分が感じるイメージを持って自由に表現できる箇所であり、
それが必要な箇所でもあります。
歌(合唱)が入ったら、主役は歌。
テンポ・呼吸・フレーズを合唱と共有し、一緒に呼吸しながら弾くことが大切です。

また、音量や間などを駆使して、歌をのせてあげたり、引き立たせることや、
音楽や拍感の変わりを予感させたり、提示しながら歌を誘導していくことも必要です。
そのような「間」や「音楽の変わり目」を表現する時のポイントは、
「自分が本当に感じているかどうか」。
「はい、ここで和音が変わるから音楽変わるよ~」
という意識だけでは、歌う人たちにはほとんど届きません。
その時、その音の変化に自分が「感じたこと」を大切にして、
素直に表現した時、
初めて伴奏者の心の変化が音を通して歌う人たちに伝わり、全体の流れも変化するのです。
このように、伴奏はただ「歌に合わせるだけの伴奏」ではなく、
深いところで主役の歌を含めた音楽全体を支える役割を担っているのです。
合唱コンクールへ向けて伴奏を磨く中学生の生徒さんたち
秋は、合唱コンクールが行われる学校が数多くあります。
夏休みには、1学期にオーディションなどで選ばれた中学生の生徒さんたちが
合唱伴奏を指導してほしいとレッスンに持ってきて、
「歌いやすくて、自分も楽しい伴奏とは何か」を一緒に考えながら取り組みました。

みんな、ちょっとした意識の持ち方に気がつくとガラッと演奏が変わり、
自分の演奏だけでなく合唱全体まで感じることができるようになりました。
2学期から始まる合唱との練習を前にワクワクした気持ちが生まれているのを感じ、
合唱と実際に練習してみて感じることもたくさんあるよ、
ということをお伝えしています。
自分が想定していたこととは違うことも起こるかもしれません。
生身の人間同士ですから、1+1=2にはならないのです。
でも不安になることはありません。
合唱と伴奏、みんながお互い素直に感じたことを伝えあい、協力しながらひとつの音楽を作っていく。

その面白さを存分に味わい、
「みんなで音楽を作る」ことを、まずは楽しんでほしいと思います。
そして、このように合唱伴奏に楽しんで取り組む中で身につく音楽性は、
自分の演奏にも必ず生きて行きます。




